知能指数の差
よく「IQが20離れると話が通じなくなる」と言われます。IQの意味合いや定義は置いといて、なぜこれが妥当かについて考えました。
結論から言うと、①頭のいい方が持つ「これくらい分かるだろう」の基準が高く、説明不足になるから②思考の形態として、頭のいい方は抽象的思考よりでと良くない方は具体的思考によって、「話が通じない」現象に見舞わられるのではないかと推測します。
1.「これくらい分かる」の基準の違い
「これくらい分かる」基準の差異はコトバに関しても、説明(理論)に関してもいえます。
これは特に、明治時代に輸入された概念の翻訳語によく見られます。簡単な例では、自然(nature)社会(society )概念(concept)個人などがあります。難しい(かなり誤解されている)言葉の例では、本質(Essence)、命題(proposition)、哲学(philosophy)、蓋然性(probability)などがあります。和製漢語に関してはこちらを参照https://www.lang.nagoya-u.ac.jp/proj/sosho/7/fukuda.pdf
このようにコトバや説明の「分かる」基準が違えば頭のいい人⇒良くない人への伝達コミュニケーションで正確に伝わらない可能性が生じます。ただし、頭のいい人が「あ、こいつバカだな」と気づいた時点で、もし彼が優しければ解消されます。
2.抽象と具体
基本的に、犬や幼い子供は「抽象的思考」ができません。これは、例えば目の前にあるリンゴAを見て「何かがある」としか理解できず、「リンゴがある」のような具体的事象を理解するための悟性(Understanding)がないということです。
抽象的思考とは物事の本質をみぬく思考です。ここで、「抽象」という語句が日本人に誤解されがちなものなのでひとつ補足します。抽象(Abstraction)とはただ「あいまい」であることではなく、ある事象、個物から共通点を抽出し、1つの概念にする過程をいいます。例えば、僕は「アナちゃん」というトイプードルを飼っていますが、「アナちゃん」は犬という概念に対する個物です。
また、事象に関していえば、例えばあなたが何かを面白いと感じることが複数あるとします。ユーチューバーの面白い動画でも、周りに起きたことでもなんでもいいです。その複数の面白いできごとという事象から「面白さ」の本質(Essence)を抽出能力も抽象的思考です。本質(Essenceの翻訳語)の本来の意味は「それがそうであるための必要最低限の要素」のことです。
このように物事を1、2段階上位の概念からとらえたり、推理を行う抽象的思考と、目の前の事象そのものにとらわれる具体的思考には差があります。